LaTeXがWordより優れている点の一つに,参考文献を付けやすい点があります。
今回は,LaTeXで参考文献をつける方法をご紹介します。
LaTeXで参考文献をつける方法
参考文献の付け方
LaTeXにおいて,参考文献をつける方法には大きく分けて2種類あります。
その方法は,「直接引用する」か「BibTeXを使う」の2種類です。
どちらも同じように参考文献をつけることができますが,管理しやすいという点でBibTeXを使う方法が優れていると思います。
BibTeXとは,LaTeX文書における参考文献をまとめたデータベースのことです。
どちらにしても,以下のような参考文献をつけることができます。
2つの引用方法の特徴
2つの引用方法の特徴は以下のようになっています!
直接引用する引用方法
- 参考文献を直接入力するので,直感的で分かりやすい
- 引用の方法をカスタマイズしやすい
BibTeXでの引用方法
- 自動で参考文献をつけるので簡単
- 引用の順番が変わると,自動的に参考文献リストの順番も変わる
- [1]というスタイルの引用以外にも,[名前2023]といったスタイルでの引用方法も可能
直接引用する方法
まずは,基本となる「直接引用する方法」についてです。
基本的な使い方は,\begin{thebibliography}{99}
と\end{thebibliography}
の間に,文献リストを入力する形になります。
\documentclass[dvipdfmx,uplatex]{jsarticle}
\usepackage{url}
\begin{document}
\section{はじめに}
\LaTeX では美しい文書を作ることができます。
1つ目の引用はこちらです\cite{cite1}。2つ目の引用はこちらです\cite{cite2}。
% ここから参考文献
\begin{thebibliography}{99}
\bibitem{cite1}Chawla, N. V., Bowyer, K. W., Hall, L. O., \& Kegelmeyer, W. P. (2002). SMOTE: synthetic minority over-sampling technique. Journal of artificial intelligence research, 16, 321-357.
\bibitem{cite2}山村雅幸, 小野貴久, \& 小林重信. (1992). 形質の遺伝を重視した遺伝的アルゴリズムに基づく巡回セールスマン問題の解法. 人工知能, 7(6), 1049-1059.
\end{thebibliography}
\end{document}
手順としては2STEPとなります。
STEP1: 引用したい文献を\bibitemで追加
引用したい文献をthebibliography
環境に追加します。
追加方法は,\bibitem{引用のための任意の名前}文献名
と書けば良いです。
下のタイトルの文献を引用する場合には,\bibitem{Takahashi2023}Chawla...
と入力します。
\bibitem{cite1}Chawla, N. V., Bowyer, K. W., Hall, L. O., \& Kegelmeyer, W. P. (2002). SMOTE: synthetic minority over-sampling technique. Journal of artificial intelligence research, 16, 321-357.
{引用のための任意の名前}
の部分に関しては,他と被らない名前にする必要があります。
Takahashi2023
のような分かりやすい名前が良いです。
複数引用したい場合には,\bibitem{引用のための任意の名前}文献名
を必要な分だけ追加します。
\begin{thebibliography}{99}
\bibitem{cite1}Chawla, N. V., Bowyer, K. W., Hall, L. O., \& Kegelmeyer, W. P. (2002). SMOTE: synthetic minority over-sampling technique. Journal of artificial intelligence research, 16, 321-357.
\bibitem{cite2}山村雅幸, 小野貴久, \& 小林重信. (1992). 形質の遺伝を重視した遺伝的アルゴリズムに基づく巡回セールスマン問題の解法. 人工知能, 7(6), 1049-1059.
\end{thebibliography}
thebibliography
環境では,ここに書いた順番に[1]や[2]の番号が振られます。
STEP2: 引用したい場所で\citeをつける
次に,本文中で[1]や[2]といった番号をつける処理を行います。
これはとても簡単で,引用したい部分に\cite{引用のための任意の名前}
と書きます。
1つ目の引用はこちらです\cite{cite1}
上のように書くと,「1つ目の引用はこちらです[1]」と表示されます。
こちらの方法では,文献を途中に追加したときに番号の管理が大変なので,次に紹介するBibTeXを使う方法がおすすめです。
BibTeXで引用する方法
BibTeXで引用する場合には,.texのファイルに加えて.bibというファイルが必要になります。
.bibのファイルには,BibTeX形式で文献リストを記述します。
例えば,以下のようなスタイルになります。
@article{cite1,
title={SMOTE: synthetic minority over-sampling technique},
author={Chawla, Nitesh V and Bowyer, Kevin W and Hall, Lawrence O and Kegelmeyer, W Philip},
journal={Journal of artificial intelligence research},
volume={16},
pages={321--357},
year={2002}
}
この形式を1から書くのでは大変ですが,Google Scholarを使用すると,簡単に取得することができます。
BibTeX形式を簡単に取得する方法
Google Scholarにアクセス
Google Scholarにアクセスして引用したい文献を検索します。
ここで,引用ボタンをクリックします。
BibTeXをクリック
BibTeXボタンをクリックすると,BibTeX形式の文字列を出てくるのでコピーして.bibファイルにペーストします。
STEP1: bibファイルに文献を追加
まずは,上で説明したように引用したい文献をGoogle Scholarなどで検索してBibTeX形式のテキストを取得します。
取得した内容をbibtex_sample.bibなど自由なファイル名で保存します。
- .bibのファイル名は任意の文字列で大丈夫です
@article{
の1行目には引用時に使用する名前を設定します(図中ではcite1)- 文献の順番は関係ないので,好きな順番で記述できます
2つの文献を追加する場合には以下のようになります。
@article{cite1,
title={SMOTE: synthetic minority over-sampling technique},
author={Chawla, Nitesh V and Bowyer, Kevin W and Hall, Lawrence O and Kegelmeyer, W Philip},
journal={Journal of artificial intelligence research},
volume={16},
pages={321--357},
year={2002}
}
@article{cite2,
title={形質の遺伝を重視した遺伝的アルゴリズムに基づく巡回セールスマン問題の解法},
author={山村雅幸 and 小野貴久 and 小林重信},
journal={人工知能},
volume={7},
number={6},
pages={1049--1059},
year={1992},
publisher={一般社団法人 人工知能学会}
}
STEP2: texファイルで引用する
.bibファイルに引用したい文献を追加したら,次は本文で引用できるように設定します。
設定するポイントは以下のとおりです。
- 参考文献を入れる場所(最後の方)に
\bibliography{bibのファイル名}
を入力 - 引用する順番(引用順やアルファベット順)を
\bibliographystyle
で設定 - 引用したい位置に,
\cite{cite1}
のように入力
例えば,bibtex_sample.bibの場合には,\bibliography{bibtex_sample}
と書きます。
引用順に関しては以下のように設定します。
引用した順に並べる | アルファベット順に並べる |
---|---|
\bibliographystyle{junsrt} | \bibliographystyle{jplain} |
これらを元にtex文書の例を紹介します。引用の方法は以下のように設定しています。
- bibtexのファイル名はbibtex_sample.bib
- 引用した順番に並べる
\documentclass[dvipdfmx,uplatex]{jsarticle}
\begin{document}
\section{はじめに}
\LaTeX では美しい文書を作ることができます。
1つ目の引用はこちらです\cite{cite1}。
2つ目の引用はこちらです\cite{cite2}。
% ここから参考文献bibtexの設定
\bibliography{bibtex_sample}
\bibliographystyle{junsrt}
\end{document}
このように書くと,下の画像のような文書が出力されます。
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