LaTeXにおける日本語論文の引用の方法をご紹介します。
【非推奨】1つずつ自分で入力する方法
まずは,自分で論文情報を入力して引用する方法をご紹介します。
例として,「人の同調行動に基づく意思決定モデル」という論文を引用するとします。
参考文献を載せたい位置に以下を入力します。
\begin{thebibliography}{99}
\bibitem{Ohta1996} 太田昌克, 飯田敏幸, 河岡司. (1996). 人の同調行動に基づく意思決定モデル. 人工知能, 11(6), 927-932.
\end{thebibliography}
texファイル全体で見ると,このようになっています。
\documentclass[10ptj,a4j,dvipdfmx,uplatex]{jsarticle}
\begin{document}
\section{はじめに}
LaTeXで簡単な文書を作成できます。引用するにはciteと入力します\cite{Ohta1996}。
\section{おわりに}
とても便利です。
\begin{thebibliography}{99}
\bibitem{Ohta1996} 太田昌克, 飯田敏幸, 河岡司. (1996). 人の同調行動に基づく意思決定モデル. 人工知能, 11(6), 927-932.
\end{thebibliography}
\end{document}
latexmkなどの設定は以下の記事をご覧ください。
しかし,この方法では以下のような問題があります。
- 直感的でわかりやすいですが,抜け漏れの可能性が上がる
- 順番を変えるときに面倒
- カスタマイズしにくい
特に,抜け漏れの可能性があることが問題点だと思います。
【推奨】BibTeXを使用する方法
1つずつ手入力する方法よりも遥かに簡単でヒューマンエラーが起こりにくいのがBibTeXを使用する方法です。
手順は以下の通りです。
- latexmkの設定
- bibファイルの作成
- texファイルに入れ込む
1つずつご説明します。
1.latexmkの設定
英語でBiBTeXを使うときには,pdfTeX→pdfTeX→bibtex→pdfTeXという4回のコンパイルが必要です。
しかし,日本語を扱う場合にはupLaTeX→upLaTeX→upBiBTeX→upLaTeXの4回コンパイルすると上手くいきます。
そのための,.latexmkrcの設定はこのようになります。
$latex = 'uplatex -synctex=1 -halt-on-error -interaction=nonstopmode -file-line-error';
$latex_silent = 'uplatex -synctex=1 -halt-on-error -interaction=nonstopmode -file-line-error';
$bibtex = 'upbibtex';
$dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
$max_repeat = 6;
$pdf_mode = 3;
$pvc_view_file_via_temporary = 0;
2.bibファイルの作成
次に,bibファイルを作成します。
ファイル名はなんでも良いです。(***.bib)
論文追加の手順
① Google Scholarなどで論文を検索します。
② 「引用」をクリックします
③ BibTeXをクリックします
④ 表示されている文字全てをコピーして,hoge.bibに貼り付けます
3.texファイルに入れ込む
参考文献をつけるには2つの設定を行います。
1つ目が引用したい位置に\cite
と入力,2つ目は\bibliographystyle
と\bibliography
の設定です。
引用したい位置に文献を設定
引用したい位置に\cite{キー}
と入力します。
キーについては,文献の1行目にある文字列です。(上の画像では,Ohta1996)
LaTeXで簡単な文書を作成できます。引用するにはciteと入力します\cite{Ohta1996}。
bibliographystyleの設定
参考文献リストを載せたい位置に\bibliographystyle
と\bibliography
を設定します。
\bibliographystyle{jplain}
\bibliography{hoge}
\bibliographystyle
には色々な種類があります。
日本語の場合には以下の2つがよく使われています。
- jplain:参考文献をアルファベット順に並べる
- junsrt:引用順に並べる
まとめると,このようなtexファイルとなります。
\documentclass[10ptj,a4j,dvipdfmx,uplatex]{jsarticle}
\begin{document}
\section{はじめに}
LaTeXで簡単な文書を作成できます。引用するにはciteと入力します\cite{Ohta1996}。
\section{おわりに}
とても便利です。
\bibliographystyle{jplain}
\bibliography{hoge}
\end{document}
すると,このようなpdfが作成されると思います。
まとめ
LaTeXでの日本語論文の引用はいかがでしたでしょうか。
日本語では通常のコンパイルが使えないなどがありますが,慣れてくると簡単に参考文献をつくることができます。
本文での引用を[1],[2]ではなく,(太田, 1996)と「名前+年」とした場合には下の記事をご覧ください。
*現在執筆中です。
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